とにかく風呂に入りたい。二人の願いは一致した。この旅を続けていて感じたことなのだが、人間体が汚く、頭が臭いと心まで汚くなってくる。
本当にそうだ。この日の二人はまさにそうだった。唯一の救いは最近うどんとカツ丼をしっかり食べて外食したい!!という気分になってないことだ。当分ふりかけご飯と野菜ジュースで生きていけそうだ。
ちょっと汚い話になるが、頭皮にこびりついた匂いが洗ってもとれないのだ。銭湯に入って2、3回髪の毛を洗っても髪が乾くとなんとなく匂いが残っている。都会に着いたらヘッドスパに二人で行こうなんて話をしながら、海水浴場にテントを張ってたら、散歩をしている若者に話かけられた。どうやら松山市内で中学校の先生をしていて、週末だけ地元の興居島に帰ってきているそうだ。酒屋がどこにあるかを訪ね、我々はその近くの酒屋に向かった。
結局この日はこのあとキムチ鍋を作りたらふく食べ寝た。
次の日もう朝から体はベトベトとはいかないがすごく気持ち悪かった。何をするのもやる気がおきず、それに携帯電話の電源は切れて2日がたっていた。もちろん電源なんてものはない。
やっとの思いでご飯を作り始めた。もうふりかけご飯は飽きてしまっていた。当分白いご飯は見たくないとさえ思った。パスタ食べたいなあ、、ラーメン食べたいなあ。。。とにかく麺類が食べたい。野菜が食べたい。
などと考えてだらだらしているうちに夕方の17時になってしまっていた。すごく損をした気分になっていた。それに何よりイライラしていた。頭が痒い。。。汗
このままじゃ何のために島に来たのかわからん!!と二人で暗い中ごそごそ支度をし出掛けた。島に銭湯がないことはわかっていたが銭湯探そう!商店を探そうとなり港の方面にむかった。
お!!生協がある。閉店間近のお店に駆け込み、お菓子を少々買いお店の人に銭湯があるか聞いた。
いかにも不潔そうに見えた二人へいささかの不信感を抱いた店員さんに、負けずに話かけた。
名付けて『どうだ不潔だろ、同情するなら風呂を貸せ作戦』である。
この作戦勝ちで物凄く人情味がある店員さんは、集会所ならシャワーがあるから、その係りの人に電話をしてみると、ダイヤルを回してくれた。
『いや~栄子さんね~実はこういう人達がいてね~~海水浴場でテントを張っててね~&\;#-)?@+%!』とこんな具合である。ところが会話の途中で、
ん??三上さん?あなた三上さんですか?
はい。私は三上ですが。。。
えっと!!いつの間に私は有名人になったのか!!この島にまで名前が行き届いている!!
違った。お察しの通り、昨日海水浴場から電話をした山田商店さんこと、栄子さん。山田栄子だったのだ。
電話をしたことで私のことを覚えてくれたらしい。とそこからは話は早く我々は栄子さんの家に3時間ほどいて、お風呂と、自家製のいよかんジャムをはさんだトーストをご馳走になりはたまたご主人から貴重な話を聞くことが出来た。
やはり勝手に無断使用せず電話をしていて良かった。身を持って経験した。
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