とある天気がいい平日の朝8時20分。
娘を保育園に送り出した後会社に出勤した私。
少し急いで会社の駐車場に車を止め線路沿いを歩いている途中、ふと目の隅にうずくまっている女の子が目に入った。
線路のすぐ脇にいたものだから心配になり話しかけた。
私「どうしたの?お腹痛いの?」
女の子「・・・・・」 首を横に振る。
私「具合悪い?おうち近い?誰かくるの?」
女の子「・・・・・」 首を横に振る。
私「どうした~。学校行きたくないの??」
女の子「・・・・・うん」 ボロボロと涙を流す。
小学1年生くらいだろうか。
私は女の子の背中をさすりながら「どうした?クラスでなんかあったの?先生怖いの??」
女の子 「…名札をなくしたの。どこ探しても見つからないの。家にもないしどこにもないのぉ」としくしくと泣き始めた…
えっ?
まじか~~~~
そんなんで泣くの~
そうか、小学生にとっては一大事なのだ。
とちょっと笑いそうになってしまったのをこらえた。
さてどうするかな~と。
そこで初めて私は自分が小学生の女の子の扱いが全くわからないことに気が付いた
「ちょ、ちょっと待っててね。すぐ戻るから!」といい、会社の同僚でもあり、3児のママでもある友達に電話をかけた。
この日携帯電話を忘れた私は一旦会社に行き、女の子の名前と事情を同僚に電話で話し、解決策を見つけようとした。
5分後、同僚と話を終え、結局同僚の子が学校の先生に電話をして彼女を迎えに来てもらうということで話が収まったあと、私はまた女の子のところに戻ろうとした。
さて、話はここからだ。
会社から女の子のいる線路までは見通しのいい直線約200メートル。
スタスタと女の子に向かって歩いていく私。
と・・・
一人のサラリーマン風の男の人が、出勤前だろうか。女の子に話しかけているのがわかる。寄り添ってなんか話している。もちろんだが会話は聞こえない。
と・・・
今度は、工事現場風の男の人が自転車から降り女の子に近づいてきた。
と・・・
今度は、ウォーキング風の30代後半だろうか。男の人がまた近づいてきて女の子を囲んでいる。
会話が聞こえるくらいの距離に近づいてきた。
この大人男3人は一人の女の子を心配して、出勤前に話しかけていたのだ。
「ランドセルあけるからね。裏に確か電話番号とか書いてあるはずだからね~」といい、慣れた手つきでふたを開け、小学校に電話をし、先生を待つ間もずっと一緒にいてあげて、無事10分後に学校の先生に連れられていった。
朝から胸がジーンとなった。
きっと日本全国昔はこういうことが普通だったのになあ。
いつからか、地域のコミュニケーションがなくなって、町と人のつながりのない国になってしまっていた。
まずそもそも出勤前に女の子に話しかけてる余裕なんてない。
会社に遅れる~!朝ごはんコンビニで買わなきゃ~。って思っちゃうよね。
都会に住んでたらきっと私もスルーしてしまってたかも・・・
でも、小学生の女の子を囲んで大人の男3人いても全然違和感のなかった風景。
穴水町ってすごいなあと思った。
きっとこの町だと、娘もおおらかに育つだろうな。